家は本来、自分たちで手がけるものです
岐阜県に白川郷という世界遺産があります。そこでは家を手がけることの大事さを知ることができるんです。わたしは岐阜県出身ですが正直白川郷を訪れてそれを知ったのは随分歳を重ねてからです。それでも、知って良かったと思えるのが、白川郷の建物の建築技術や暮らし方だけではなく、家を建てるということの根本的な考えです。
五十年に一度の屋根の葺き替え工事
白川郷の合掌造りは世界遺産になるほどの建築技術であり、とても素晴らしいのはなんとなくわかると思います。「和田家」は300年以上の歴史的建造物で合掌造りの民家です。国指定重要文化財にもなっています。釘を使わずに縄で締めただけの屋根の構造は訪問者の目を引くばかりか、われわれ建築家も圧巻で、感動すら覚えます。
和田家の屋根は20年から30年に一度葺き替えなければなりません。白川郷では伝統的に200人もの村人が協力し茅葺き作業を行うのですが、その助け合いの精神を「結」(ゆい)と言うらしいのですが、わたしがその記録のビデオを拝聴した時には、さらに大勢の人たちが全国から手伝いに来ているビデオで、参加者の方は「自分の家のようだ」と発し、家主の方は「自分の家のようには思えない」と感動している様子が心に残りました。
この「結」の精神が日本人の心として全国にも違う形、表現で残っているとわたしは思っています。
壁に手をかける

家づくりは自分の手でって言っても、そんな技術も時間もないやって方は誤解しないでください。もちろん昔は全部自分たちの手でっていう人も、最近ではDIYでっていう人もいますどね、そういうことではないんです。
たった一壁、少しでも壁に塗ってあげることをわたしたちはやっています。
施主必須科目とも言っている、塗り壁体感会です。
呼吸する塗り壁、友喜のしるしで家づくりを完成させます。